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室 鳩巣 の 『琵琶湖上の作』

日本の律詩
07 /06 2018
琵琶湖上の作     室 鳩巣

 琵琶湖上 水 空に 連なる
 万里 虚無 目撃の 中
 畳波 天を 涵して 迭いに 高下し
 群山 地を 分って 各 西東
 孤村の 遠樹 図画 迷い
 百尺の 長橋 彩虹 飛ぶ
 独り 覚ゆ 芳州の 逸興を 生ずるを
 知らず 此の 意 幾人か 同じき


  びわこじょうのさく    むろ きゅうそう
びわこじょう みず そらに つらなる
ばんり きょむ もくげきの うち
じょうは てんを ひたして たがいに こうげし
ぐんざん ちを わかって おのおの さいとう
こそんの えんじゅ とが まよい
ひゃくしゃくの ちょうきょう さいこう とぶ
ひとり おぼゆ ほうしゅうの いっきょうを しょうずるを
しらず この こころ いくにんか おなじき


先生のお話によると、
室 鳩巣(1658~1734)は、江戸時代中期の儒学者。
医者を商いとしていた室玄樸の子として、
武蔵国谷中村(現・台東区谷中)で生まれた。
15才で金沢藩に仕え、藩命で京都の木下順庵に師事。
新井白石と共に順庵の門下生(木門)の秀才と言われた。
1711年、新井白石の推挙で、江戸幕府の儒学者となり、
徳川家宣、家継、吉宗の3代に仕え、吉宗の時代には
享保の改革を補佐した。1734年、77才にて死去。

詩の意味は、
琵琶湖のほとりに立って見渡せば、
湖面の水は空にまで連なって、どこまでも
目に映るものは茫々としていて何もない。

 虚 無 = 茫々として何もない
 目 撃 = 目に映る、目に見える
 
押し寄せる幾重もの波は、天をゆるがすばかりで
波が高くなったり低くなったり、うねり寄せてくる。
多くの山々は一国の地を二分して西東に分れている。

 畳 波 = 折り重なって押し寄せる波
 群 山 = 多くの山々。 ここでは
   東岸の伊吹山など、西岸の比良山など

遠くに見える人里離れた村の樹々は
画ではないかと思われるほどに美しく、
百尺もあるかのような長い橋が、色あざやかに
虹がかかっているかのように目に映ってくる。
 
 弧村遠樹 = 唐崎の松の絶景をさす
 百尺長橋 =  瀬田の大橋をさす
       
ひとり、芳しく香る草の生える美しい中州を眺めて
味わいのある趣きが湧いてきて、心躍らされている。
けれども、自分と同じようにな心持ちになる人は
いったい何人いるだろうか? それは、分らない。

 芳 洲 = 芳しい花や草の生える中州。
    杜若(かきつばた)が咲いていたと思われる。
 逸 興 = 格別の興味
    
         ◆  ◆  ◆

朱子学は、徳川家康が林羅山を登用し、綱吉の時代に湯島聖堂が建設されて栄えたが、古学派、古文辞学派、折衷学派などが流行ったこともあって朱子学は不振となっていた。
松平定信が老中となると寛政異学の禁が発令され、林家の門人や幕府の儒官が古文辞学や古学を学ぶことを禁じ、林家の湯島聖堂への影響力をも抑制した
   ・・・ とのことです。



 【 感 想 】
室 鳩巣(1658~1734)は、新井白石(1657~1725) に推挙されて幕府の儒学者となり、こちら によると、≪徳川家宣、家継、吉宗の3代に仕え、幕府より駿河台に屋敷を与えられ献策と書物の選進、吉宗期にはブレーンとして享保の改革を補佐する。湯島聖堂において朱子学の講義を行い・・・≫とのこと。

一方、新井白石は、吉宗により失脚となり、こちら によると、≪神田小川町の屋敷も没収され・・・幕府より与えられた千駄ヶ谷の土地に隠棲した・・・当時は・・・一面に麦畑が広がるような土地だった・・・≫ とのこと。

一才違いで、木門の秀才と言われた二人ですが、どちらも精一杯に、この時代を生き抜いたのかな~と思います。



   

     【日本の律詩】

   新井 白石 の 『 容 奇 』






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